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48 野垂れ死にできるか

「芳晴さん、吟遊詩人ってことはね、野垂れ死にすることなんだよ」

 

もみじホールはほぼ満員で、僕たちのやり取りを固唾を呑んで見守っている。

12月15日、上野原もみじホールは今年最後の大きなコンサートである。

そして、ゲストの国井雅比古さん(NHKアナウンサー)が冒頭の言葉を発しながら登場したのである。

思わずドキッとしてしまった。僕は野垂れ死にする覚悟があるだろうか。

 

吟遊詩人という言葉が好きで、ずっと前からことあるごとに名乗ってきた。

旅しながら歌を歌い、詞を吟ずるという自由なスタイルが好きだから。二胡やギターやオカリナや、いろんな楽器を操り、まるでハーメルンの笛吹き男みたいに人の心を虜にしてみたい、という思いがあったのも事実だ。

 

そして、僕は20数年、回り道をしながらゆっくりゆっくり歩いてきた。

ロックバンドをしながらアルバイト、下北沢駅前のストリートシンガー、 二胡との出会い、語り部としての活動。

 

そして今年、シンガーソングライターとしての原点に立ち返って「世界のまんなかで」を発表したのだった。

僕の音楽を愛してくれる友がいて、僕の背中を押してくれた。

そして心から応援してくれる人たちの尽力でCDが完成。僕は歌うたいとしての自覚を新たにすることができた。

 

気がつけば、目の前の聴衆が僕の歌に聴き入っている。

 

国井さんは、松尾芭蕉の「奥の細道」を朗読し、僕が二胡や琵琶で即興で音楽をつける、というコーナーがあった。

松尾芭蕉は言わずと知れた俳聖で、最後は旅の途中でなくなった。

僕は国井さんの「野垂れ死に」のことを考えながら、国井さんの重厚な声に音楽を重ねていった。

 

旅に病んで 夢は枯野をかけ廻る

 

この句は出てこなかったが、僕の大好きな芭蕉の最後の句である。

死の床にあってなお、旅路をかけめぐるロマンにしびれたものだ。

 

僕は歌いながら死ねるだろうか。

 

コンサートは大いに盛り上がった。

CDを買ってくれた人にサインをして、僕らが後片付けをしている間、国井さんはもう一杯やっていた。スタッフの人のだんなさんをつかまえて、実に楽しそうだ。国井さんの番組である「小さな旅」がそこに繰り広げられているようだったが、そうではなく、国井さんの人好きがそうさせるのだろう。

 

日々旅にして旅を栖(すみか)とす

 

僕は芭蕉と国井さんが重なって見えた。

そして、これからの人生がおぼろげながら見えてきたような気がした。

僕はこれからも、変わっていくだろう。旅を続けるだろう。

そして旅をしながら、歌を残していくのだ。

終着点がある旅ではない。旅すること自体が家なのだから。

 

友と音楽とうまい物があれば…野垂れ死にも悪くない。

 

 

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芳晴ライブスケジュール
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■2013年12月28日(土) 芳晴ライブ@八王子ふらっとん

 

今年最後のふらっとんライブです。

感謝をこめて、最高に楽しいライブをお届けします!

 

【出演】芳晴(歌、二胡、ギター、他) みっきい(ピアノ)

【時間】19:30 21:00
【料金】Table Charge ¥500 Live Charge ¥1000
【場所】ライブ酒場 ふらっとん
東京都八王子市横山町8-9セイシンビル B1 Tel (042)642-6205

 

 

今年もありがとうございました。

また来年も、楽しく元気一杯に歌っていきます。

愛してるよ~(笑)

 

芳晴

 

 

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