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33 小笠原に行ってきた(1)

父島から湾を望む

夜明山から望む海は、青いというにはあまりに美しかった。

丘の上では、旧日本軍のトーチカが眼下に広がる太平洋をにらんでいた。

ここは小笠原、父島。

東京から1000キロ離れた、自然と人とが共存しているパラダイスだ。

3月20日から5日間、豪華客船「ふじ丸」で行く小笠原クルーズに参加した。

僕が長年やっているユニット「祥子&ラディッシュ」のメンバーとして。

これから皆さんを、個性あふれる仲間と共に、小笠原クルーズの旅にご招待しよう。

(2回に分けて連載)

「ふじ丸」(日本チャータークルーズ社)はとても大きな船で、何百人も入るホールや、映画館、大きなレストランやダンスホール、ラウンジ、バーなどが入っている。

僕らのような歌手、マジシャン、芸人もたくさん乗っている。

にっぽん丸と並ぶ豪華客船だ。

20日夜に晴海埠頭を出て、僕は軽く船酔いになった。歩いていても、座っていても、気持ち悪くなってくる。

「これはまずい」と思って甲板へ出た。

暗い海面を、水しぶきを上げて走る巨大な建造物がそこにあった。

白い水の尾が、猛スピードで後ろに下がっていく。

その向こうには、漆黒の闇があるだけだ。このまま波にさらわれても、誰にも気づかれることはないだろう。

あらためて、海というものの得体のしれない恐ろしさが身に染みる。

僕には小笠原でしたいことがあった。

僕は離島とか、文化的に外界と隔絶された空間が好きでたまらない。

そこに住んでいる人たちと交流すること、できれば音楽を共有できたらいいな、と考えていた。(仕事は島ではなく船の中なのである)

最初の夜は大ホールでPONさんというシンガーのコンサートがあった。

彼はピアノ弾きで、洋楽やオリジナルを歌う。笑顔が何とも優しい。

途中で「幸せなら手をたたこう」をみんなで手をたたき足を鳴らしてやったり、

子供向きの歌を歌ってくれたりと、何とも温かいステージであった。

僕はPONさんの「幸せなら隣の人のおなかをくすぐろう!」の指示どおり、元ちゃんの大きなおなかをくすぐった。

◇2日目

やっぱり気分が悪い。

朝から、僕は医務室で注射を打ってもらい、仕事に備える。

注射の効き目はよく、だんだん気分がよくなってきた。

よし、これで歩き回れる。

昼はデッキで、大道芸の「みの吉」君のショーがあった。

彼はジャグリング(ボウリングのピンのようなものや、球をいくつも投げては受けたりする曲芸)や、風船をその場で作るショー、マジックまがい(本人談)のことをしながら、言葉巧みにお客さんを魅了した。素晴らしかった。

そして、お次は我らが元ちゃんの登場。

彼は一人でピアノを弾きながら歌う。彼はよく自分を「デブですから」という。

本当にデブである。体重110キロ。

しかしながら、彼の歌は日本人離れしており、すごいパワー、そして音楽性がある。

(前にメルマガでも登場した「vol.22ラーメン屋での出来事」覚えている人もいるだろう)

物まねも得意。それで十八番の「一人 ウィー・アー・ザ・ワールド」をやった。

司会者も僕らも大爆笑。

ところが、である。

年配のお客さんが、「ウィー・アー・ザ・ワールド」自体を知らなかったのだ。

僕はデッキの上で座っている年配のお客さんを見ると、口をあんぐり開けて宙を見ているようだった。それで、司会者が僕にこっそり聞いてきた。

「彼は他にはどんな曲が得意ですか」

僕は即答した。「オリジナルがいいですよ」

そして彼は自作の「結婚幸信曲」を歌った。

妹が結婚した時に作った曲で、名曲である。皆が自分の結婚した時のことを思い、また娘や息子のことを思い、感動したのは言うまでもない。

僕は、昨日船酔いのため、あまりできなかった練習をすることにした。

前回のメルマガを読まれた方はご存じだが、僕は2月に二胡のチューニングを5度から4度に変更したのだ。

いまだに慣れなくて、しょっちゅう違う場所を押さえてしまう。

まあ、初心者のようなもので、ここ最近は情緒不安定(?)な状態が続いている。

ちょうどいい練習場があった。大ホールのステージ裏の倉庫だ。

ここなら、誰にも聞かれない。

僕は自分の場所と飲み物を確保して、揺れる船の中で、何時間も練習をしていた。

すると、何やら物音が。

しまった、ステージではコンサートが始まってしまった。

もうここからは出られない。倉庫の中とはいえ、静かな曲の時には聞こえてしまうから、音はもう出せない。僕は仕方なく、ステージの袖で聴くことにした。

コンサートの主は、若いシンガーソングライターの大野靖之さんだった。

彼はピアノやギターを弾いて歌う。イケメンである。

最初は甘いラブソングを歌ったので、「うん、そうだろうな」と思った。

しかし、聴いていくと、彼は自分の人生、特に母親のことを語り始めた。

自分がミュージシャンとしての夢をかなえていく中で、このお母さんの励まし、叱咤激励が大きかったようなのだ。

ハメをはずすのもいい、でも嘘はだめ!優しくて厳しいお母さんだった。

そんな彼女に病魔が忍び寄る、

現代の女性に非常に多い、乳がんに侵されていたのだ。

僕は聴きながら、この若いミュージシャンのかけがえのないものを思い、涙した。

彼は今、お母さんの思いを受け継ぎ、そして夢を追うことの大切さを説きながら、全国の小学校を回っているそうだ。

ふじ丸の食事のうまかったこと!

朝、昼、晩、そして夜食もある。すべてが最高だった。

レストランの給仕は、見たところフィリピン人が多かったように思う。忙しく、てきぱきと働いていた。にこやかな人もいれば、いつもむっとしている人もいた。

彼女は容赦なく「どいてください!」とかいうので、僕らはいつも苦笑いしていた。

後に音響の桜井さんが、勝手にデフォルメして、一発ギャグにしてしまった。

何かこそこそとしているときに、両手でドアを開けるしぐさをして、

「フィリピン人がNO!」

◇3日目

朝8時ごろ。「小笠原、父島に到着しました」のアナウンスが。

僕は急いで甲板に出ると、青い海にぽっかりと浮かぶ島があった。

砂漠の中のオアシスを発見した人の気持ちが、少しだけわかった。

港には「おがさわら丸」と書かれた船が停泊し、家々が立ち並んでいた。

遠くには学校の体育館らしき建物が見える。そしてどこまでも美しい緑の木々。

ここはもう、一つの完結した世界であり、その小さな世界が僕らを手招きする。

「ここへおいで」と。

これから僕らは、「通船」と呼ばれるボートで島へ上陸して、それぞれの一日を過ごすことになるのだ。

この島での出来事と、祥子&ラディッシュのコンサート、そして僕と元ちゃんによるロックンロールナイトの様子は、次回のお楽しみ。

父島からふじ丸を望む

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◆◇芳晴ライブ情報

      2012年3月31日(土) 芳晴ソロライブ @八王子ふらっとん

「ららばい僕らの小さな日」や「巣立ち」など、芳晴の卒業ソングを歌います。

リクエスト、飛び入りも大歓迎!

【出演】:芳晴(歌、二胡、ギター、他)

【時間】①19:30 ② 21:00

【料金】Table Charge ¥500

    Live Charge ¥1000

【場所】ライブ酒場ふらっとん

東京都八王子市横山町8-9セイシンビルⅡB1

■2012年4月1日(日)チェン・ミン二胡ライブ@相模湖交流センター

10数年前に、僕が井の頭公園でパフォーマンスしていたら、

和服姿の背の高い、きれいな女性が声をかけてきました。

その時は名前も知りませんでしたが、後で「徹子の部屋」で僕のことを写真入りで紹介していました(笑)

その人がチェン・ミンさん。僕の地元ということもあり、少しだけ友情出演します。

【出演】チェンミン(二胡・Vo)/

鈴木直樹(Cl&Sax)/大橋高志(Pf)

    ジャンボ小野(Bs)/堀越 彰(Dr)

芳晴(二胡)

入場料:3,500円(全席指定)

【時間】15:00開場/15:30開演

お問合せ・お申込み:相模湖交流センター 

042―682―6121

■2012年4月1日(日)neomii & the Moonbow @ 新宿 経王寺

花まつり ~蓮と桜の樂夜会~

芳晴が二胡で参加しているユニットです。牛込柳町のすぐそばのお寺です。

【会場】経王寺

東京都新宿区原町1-14  03-3341-1314

都営大江戸線 牛込柳町下車 東口より徒歩1分

http://www.kyoouji.gr.jp/about/access.html

【時間】開場 18:00 開演 18:30

【料金】 2000円 (甘茶付き)

【予約・問合】

⇒オフィス飛行船 e-mail hikosen0601@neomii.net fax 03-3928-0308

※前日までにご予約の方に桜にちなんだミニお菓子をプレゼントします

【出演】

①星源真修

梶山シュウ(vo.bass)佐藤真也(piano)星衛(cello)くどうげんた(per.)

②neomii & the MoonBow

neomii(vo.)下舘直樹(gt.)芳晴(二胡)くどうげんた(per.)

naoko(dance)

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