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15 中国の旅3  敦煌の飛天・インインさんの話

敦煌は古代から栄える、砂漠の中のオアシスである。

はるか彼方まで続くポプラ並木の道を、ロバの車に乗ったおじいさんが行く。

「前にもここへ来たような気がする」とか「時間が止まったようだ」とか、いくら並べてみても、憧れの風景に出会えた感動は、言葉では言いつくせない。

 

市場の喧騒から離れて、少し静かな路地を歩いていたその時、

「アイウエオ…カキクケコ…オハヨウゴザイマス」」

日本から数千キロ離れた敦煌の片隅で、不意にたどたどしい日本語が聞こえてきた。

 

中国を旅していて、日本語で話しかけられることは時々ある。たいていは物売りか、時間を聞くふりをして売春まがいの行為を誘う女性だ。

しかし、このときは僕にではなく、お店の前の路地で樽をテーブルにして、

若い女の子が二人の男に日本語を教えていたのだ。

僕は思わず歩みを止めて、その風景に見入った。

するとその女の子はニコッとして、かなり流暢な日本語で、

「こんにちは、よかったらどうぞ」と言ってきた。

 

彼女の名前は英英(インイン)さん。

ここは彼女のお店、英英珈琲(インイン・カフェ)である。

お店は完全日本人向けといってもいいくらいである。珈琲はドトールの豆を使用、

メニューはカレー、カツどん、生姜焼き定食など(笑)

 

僕は参ってしまった。

メニューにではない。彼女の気さくさ、商売上手だけではない優しさ、

ほっぺたの赤い、まるで絵本「スーホの白い馬」に出てきそうな幼い顔、

写真が趣味だという、旺盛な好奇心をうかがわせる、彼女の賢そうな瞳にである。

僕は敦煌に滞在する間、毎日インインカフェに通うことになった。

 

「…いやあ、参ったよ!

貸し自転車を借りて、帰ってきたらお店が終わってたんだ。

それで自転車に鍵をかけてお店の前に置いてきた。

次の日にまた行ったら、店主が『自転車はどこへ行った!』と言うんだよ。

僕は『しまった!』と思ったけど、もう遅かった。しっかり保証金を取られちゃったよ」

 

「今日は莫高窟へ行ったんだ。

ミニバスで行ったんだけどね、いつもは満員なのに、今日の乗客は僕だけなんだよ。

『不思議だな…でもまあいいか』、でも莫高窟へ着いてバイバイしようとしたら、運転手がついてくるんだよ。頼んでもいないのに勝手にガイドしてくれるわけ。

『へえ、親切な人だな』なんて、能天気な僕はまだ思ってたんだ。

そして帰りに僕をミニバスに乗せた彼は、僕にお金を請求したんだ。『チャーター料金』をね!」

「今日は『沙州故城」に行ってきた。

2000年前の遺跡を前にして、僕が『う~ん、素晴らしい』と感慨深げにしていたら、労働者風の男がその上で立小便始めてさ、悠久の歴史ロマンがシュルシュルとしぼんじゃった(笑)」

 

とまあ、こんな風に失敗談とたわいもない愚痴をはきだしに行ったものだ。

彼女は僕の馬鹿さ加減を笑うことなく、真面目に聞いてくれたり、一緒に憤ってくれたりした。

僕は「話を聞いてくれる中国人」に初めて出会った気がした。

ちなみに僕の上海人の友達だって、ちゃんと人の話聞けよ!と言いたくなることが多い。とにかく多くの中国人は早とちりなのだ。僕も人のことは言えないが(笑)

そして彼女は、僕のほつれたバッグを針と糸で繕ってくれながら、自分の話をしてくれたのだ。

 

彼女は甘粛省(かんしゅくしょう)・張掖(ちょうえき)の北に位置する臨沢県(りんたくけん)

出身である。

そこは日本人にはなじみのない場所だ。なぜならそこは、「未開放地区」だからだ。

未開放地区にうっかり入った外国人は、見つかったら公安につかまって尋問される。運がよければ罰金、悪ければ拘留されるかもしれない場所だ。

どこの国や場所でも立ち入り禁止の場所はあるが、地域全体が外国人立ち入り禁止というのは中国ならではで、逆に好奇心をそそられる。理由は軍事上のことか、あるいはとても貧しい地区なので外国人に見せられない、もしくは住民が外の世界に憧れて、出て行ってしまうのを防ぐためなのだろうか。中国では、田舎の住民は勝手に都会へ移住することはできない。

 

そんな田舎で育った彼女。いつも「もっと広い世界を知りたい」と夢見ていた。

持ち前の前向きさと知的好奇心で、縫製工場で働きながら日本語を学んだ。

ある時、彼女は日本人青年と文通した。

それが彼女の人生を大きく変えることになるとは、思いもしなかったろう。

その日本人青年も人並み以上に好奇心の強い人で、外国語を操り、どんな所へでも行ってしまう強靭な精神力と行動力の持ち主だった。

そして、未開放地区の彼女のところまで、ひょっこり訪ねてきたのだった。

その後、紆余曲折があったが、二人は晴れて結婚。

そして今では二人で日本と中国を行き来して、英英珈琲を切り盛りしているそうだ。

 

「オアシスの中のオアシスになりたい」

彼女と彼女の店、英英珈琲(インインカフェ)は敦煌を訪れる旅人の、心と体を癒してくれる。

僕が友人からもらった、中国製の地図帳を見せたことがある。

その時、台湾が当たり前のように中国領で「台湾省」と書かれていたことに対して、小さな声で

「そこに住んでいる人はどう思うでしょうね…領土問題なんて嫌い」と言った。

小さいけれど、心はどこまでも自由な彼女の姿が、敦煌の壁画に描かれている「飛天」(空を飛ぶ天女)に見えた。

 

「さようなら、エンドウさん、また来てくださいね」

「また来るよ、そのときは二胡でも持って来るよ!」

 

その後、お店はたくさんの人に惜しまれつつ2005年に閉店した。

敦煌で二人の子供が生まれ、元気に育っているそうだ。

ちなみに、ご主人の名前は内田和浩さん。

定番の旅雑誌「地球の歩き方」などでは、僕は彼のコラムが好きで、いつも読んでいた。

また最近では、「ふるさとの仏像をみる」など歴史ものの著書もある。

英英珈琲屋 http://www.wada-denkido.co.jp/yingying/

 

 

2010年10月17日(日)芳晴ライブ in さいたま市見沼グリーンセンター 緑の祭典

2010.08.30 Monday音楽08:46-trackbacks(0)by 芳晴

 

 

広~い緑いっぱいの場所で芳晴の歌を聴いてリフレッシュしよう。

 

 

さいたま市見沼グリーンセンター(埼玉県さいたま市北区見沼2-94)

時間 13:15から 約1時間 入場無料。 ピアノ:シモシュ

 

 

 

【交通案内】

①JR宇都宮線 土呂駅東口 徒歩7分

②東武野田線 大和田駅 徒16分

【お問い合わせ】さいたま市みどり推進課

 

 

2010年10月20日(水)芳晴ライブ 新小岩CHIPPY

 

秋の夜長。芳晴のチピイライブも楽しい宵。

 

 

出演: 芳晴 (歌、ギター、二胡 他)平方トーマス元(ピアノ、歌)

①      20:00 ②21:00 ③22:00  music charge ¥2000(入れ替えなし)

東京都江戸川区松島3-15-10 2F  Tel 03-3653-1253

総武線新小岩駅からアーケード商店街をまっすぐ、徒歩10分。

 

 

2010年10月24日(日)芳晴ライブ in 釧路 サロン・カビーネ

 

待望の北海道・釧路ツアー第一弾!

大海原に向かう船旅のようにゆったりとした心地良いお店です。

カクテルを味わいながら、芳晴の歌と演奏に酔いしれる夜。

 

サロン・カビーネ

http://www.fujipro-inc.com/guide/kushiro/nomi/007.html

【時間】20:30~22:00

【場所】釧路市末広町3丁目 三丁目ビルB1階  TEL.0154-31-5957   MAP

 

 

2010年10月25日(月) 芳晴ライブ in 釧路 風露

 

釧路市内のかわいいカフェ&ギャラリー 風露。

芳晴の歌と演奏を間近で楽しめます。

 

①11:30から一時間

②13:30から一時間

 

北海道釧路市星が浦 北2丁目1−30

TEL: 0154-53-5957

 

 

 

2010年10月25日(月)芳晴ライブ in 釧路 サロン・カビーネ

 

魅惑の北海道・釧路ツアー!

24日夜に続き、サロン・カビーネ2回目のライブです。

 

【時間】19:30~21:00

 

サロン・カビーネ

http://www.fujipro-inc.com/guide/kushiro/nomi/007.html

【場所】釧路市末広町3丁目 三丁目ビルB1階  TEL.0154-31-

 

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